アイソメトリック公開日 2026年8月14日

Passive PullとActive Curl:指に力をかける2つの方法

Passive PullとActive Curlは、同じ90度ハーフクリンプから始めても力を出す順序が違います。セットアップ、手順、感覚、よくあるミス、記録の残し方を実践向けに整理します。

Donghyun KimDonghyun Kim·9
Passive PullとActive Curl:指に力をかける2つの方法
この動画では、リフティング式のセットアップとActive Curlの考え方を確認できます。本記事のFrezプロトコルは動画と異なり、Passive PullとActive Curlのどちらも90度ハーフクリンプから始めます。

この記事は、Frez Essential Kitのように、プラットフォームに立ち、ストラップの長さを固定し、ほとんど動かない抵抗に対して上へ引くリフティング式のOvercoming Isometricを前提にしています。ぶら下がるテストではなく、足元のセットアップに対して力を出す方法です。

上のカバー写真は、プラットフォーム、ストラップ、センサー、手の位置をそろえて行うFrez Essential Kitの基本セットアップです。

Passive PullとActive Curlは、どちらも90度のハーフクリンプから始めます。違うのは、先に力を出す場所と、どこでその力を受け止めるかです。[1][2]

Passive Pullのやり方

Passive Pullでは、先に90度のハーフクリンプを作り、脚と体から伝わってくる力で指が開かないように耐えます。[1][2] Passiveという名前でも、指を脱力するわけではありません。

セットアップ

エッジ、ストラップ、センサー、足場を固定します。エッジの深さと形、使う指の本数、親指の位置、手首・肘・肩の角度を決めます。反対の手をどこに置くか、足幅と体幹の向きも毎回そろえます。

最初から最大で引かず、軽い力で姿勢を確認します。肩がすくむ、体がねじれる、足がずれるなら、ストラップの長さやエッジの高さを調整してください。

手順

  1. エッジに指を置き、90度のハーフクリンプを作ります。
  2. その角度を保ったまま、足でプラットフォームを押します。
  3. 脚、体幹、肩、腕を通って、力が指へ伝わるように上へ引きます。
  4. 力が上がっても、最初に作ったハーフクリンプが開かないように耐えます。
  5. 決めた時間を保ち、最後は急に抜かずに力を落とします。

うまくできている感覚

足で押すほど、指には「開かされる力」がかかります。その力に対して、90度のハーフクリンプを保つ感覚です。指は受け身に見えても、エッジから外れないように強く抵抗しています。

等尺性トレーニングとして見ると、関節角度を大きく変えずに力を上げていく練習です。ただし、全身から伝わる力を含むので、指だけの数字として扱わないほうが実用的です。

よくあるミス

  • ハーフクリンプを作る前に体で引き始め、指の角度がすぐ開く。
  • Passiveを「指の力を抜く」という意味にしてしまう。
  • 足位置や体幹の角度が毎回変わり、全身の助け方がそろわない。
  • 指から先に力を出し、Active Curlに近い手順になる。
  • 開始から最大で引き、姿勢が崩れる過程を見落とす。

使いどころ

脚と体で作った力を、90度のハーフクリンプでどれだけ受け止められるかを見たいときに使います。リフティング式のセットアップに慣れているクライマーなら、比較的流れをつかみやすい方法です。

Active Curlのやり方

Active Curlも、最初の形は90度のハーフクリンプです。ここでは指が先に力を出し、その結果として体と脚に下向きの力が返ってくるので、脚でそれを受け止めます。[1][2]

開始時点から90度のハーフクリンプにそろえます。途中で指の角度を深くしたり浅くしたりせず、同じ形から指の力を立ち上げます。

セットアップ

エッジとストラップは、体で大きく引かなくても指から力を出せる高さにします。指は最初から90度のハーフクリンプに置きます。足はバランスを取るために使いますが、先に強く押して力を作らないようにします。

手首、肘、肩は、Passive Pullと同じように毎回そろえます。反対の手で強く支えると記録の意味が変わるので、使うなら位置と力のかけ方を固定してください。

手順

  1. エッジに指を置き、90度のハーフクリンプを作ります。
  2. 足で先に押さず、指から力を出し始めます。
  3. 指の角度を変えずに、力を少しずつ上げます。
  4. 体と脚に返ってくる下向きの力を、足で受け止めます。
  5. 90度の角度が開き始めたら、力の戦略はPassive Pullへ移っています。Active Curlだけを測るなら、いったん力を抜いてセットし直します。

うまくできている感覚

最初に働くのは指です。指がエッジに力をかけると、体が下へ押されるような反力が出ます。脚はその反力を止める役割です。指の形はずっと90度のハーフクリンプのままです。

力が上がるほどハーフクリンプが開くなら、指で力を出し続けるより、体で引く側に切り替わっています。記録を分けたいときは、そこで粘らずリセットします。

よくあるミス

  • 指より先に脚と体で引き、Passive Pullと同じ流れになる。
  • 力を上げる途中で90度のハーフクリンプが開く。
  • 指の角度を変えて別の動作にしてしまう。
  • 記録を上げようとして、足の押し方や反対の手の支え方を毎回変える。
  • Active Curlの数値が低いだけで、指が弱いと決めつける。

使いどころ

90度のハーフクリンプを保ったまま、指から力を立ち上げる順序を確認したいときに使います。Passive Pullと同じ日に試す場合も、記録は別プロトコルとして残します。

30秒で軽く違いを比べる

これは最大筋力テストではありません。痛みや違和感が出たら、その場で止めます。安全なハングボードトレーニングと同じで、数字よりも再現できるフォームを優先してください。

  1. 10秒 Passive Pull: 先に90度のハーフクリンプを作り、足で押しながら指が開くのを耐えます。
  2. 10秒休む: 手を振って力を抜き、足と腕の位置は変えません。
  3. 10秒 Active Curl: 足で先に押さず、指から力を出します。90度のハーフクリンプを保ちます。

最初の10秒は、力が「足、体、指」へ流れてくるかを見ます。最後の10秒は、力が「指、体、脚」へ返っていくかを見ます。軽い力で十分です。

2つの記録は分けて見る

Passive Pullには、脚と体から伝わった力が含まれます。Active Curlは、同じ90度のハーフクリンプから指が先に力を出す方法です。

この2つの数値を引き算したり、比率にしたり、全員に当てはまる標準値として扱ったりしないでください。今見るべきなのは、同じプロトコル内での過去の自分との比較です。

MVCテストとしてピークを見たいのか、RFDのように短い時間での立ち上がりを見たいのかでも、残すべき指標は変わります。目的を先に決めてから測ります。

比較するなら条件をそろえる

指の力の測定は、同じ条件で繰り返して初めて意味が出ます。クライミングの指力評価でも、測定方法の再現性が重要です。[3]

記録には、少なくとも次の項目を残します。

  1. Passive PullかActive Curlか
  2. エッジの深さ、角の丸み、表面、引く方向
  3. グリップ形状。ここでは90度のハーフクリンプ
  4. 使った指の本数と親指の位置
  5. 手首、肘、肩の角度
  6. 足位置、体幹の向き、反対の手の支え方
  7. ウォームアップ、力を上げる速さ、測定時間、休憩時間
  8. ピークフォース、平均フォース、RFDなど、採用する指標

セットアップが変わると、同じ数字でも意味が変わります。特に足位置と反対の手は、リフティング式の測定で結果に影響しやすい部分です。

Frezには方法と条件を一緒に残す

Frezの役割は、測った瞬間の数字を出すことだけではありません。同じエッジ、同じグリップ、同じプロトコルで繰り返せるトレーニングにし、あとから傾向を見られる形で残すことです。

  • Passive Pull — 90度のハーフクリンプから伝わってくる力を受け止める
  • Active Curl — 90度のハーフクリンプから指で力を出し始める

どちらかを正解にする必要はありません。Passive Pullは、90度のハーフクリンプで全身から伝わる力に耐える方法です。Active Curlは、同じ90度のハーフクリンプから指が先に力を出す方法です。

同じ名前、同じ条件、同じ指標で記録を重ねると、1回の数字ではなく流れが見えます。Frezでは、その流れを測定と反復トレーニングの両方につなげてください。

参考資料

[1] https://www.youtube.com/watch?v=SgsHVhxx08c — StrengthClimbing — The Best Finger Strength Protocol for Rock Climbing

[2] https://www.youtube.com/watch?v=hNhzF1XsWPs — C4HP / Tyler Nelson — Finger Strength Training 4 Rock Climbing

[3] https://www.frontiersin.org/journals/sports-and-active-living/articles/10.3389/fspor.2025.1650198/full — Pérez-Cordero et al. 2025 — Reliability of finger strength assessment methods in climbing

Donghyun Kim

Donghyun Kim

Frez創業者

クライマーでありソフトウェアエンジニア。測定に基づくトレーニングツールを開発しています。